Jewels of Nostalgia

Certo Super Dollina II
Carl Zeiss Jena Tessar F2.8/50mm
Vebur B,1sec. - 1/250sec.
1953, Made in GDR (East Germany)


ツェルト社、およびドリナシリーズ全般については、Certo Dollina I に記したとおりである。
ツェルト・ドリナシリーズの最大の特徴は、ごく初期のモデルを除いて、ボディ側のフォーカシングノブ回転によるレンズボードの前後移動という機構にある。この Super Dollina II においても、基本的機構は変わっておらず、巻上げノブ後部に位置する小さなノブでフォーカシングを行なうようになっている。

この Super Dollina II は、一連のドリナ・シリーズの最終モデルであり、第二次世界大戦後、ツェルト社が東ドイツ VEB (Volks Eigene Bertrieb) 人民公社となってからのものである。
母体となったモデルは、戦前の Super Dollina I であり、軍艦部のデザインを1950年代風にリファインした以外、機構的にはほとんど何も変わっていない。巻上げノブ後部のフォーカシングノブ、上下像合致式の連動距離計など、戦前モデルをそのまま踏襲している。変わったことと言えば、シンクロ接点が付いたことくらいであろうか。

とはいえ、この Super Dollina II は決して古くさいカメラではない。むしろ、ごく早期にそのユニークな機構が完成していたモデルと見るべきではないだろうか。
剛性感あふれるダイキャストボディ、質感が高くしっかりとした蛇腹展開機構、緻密で正確なフォーカシング機構、滑らかなフィルム給装機構、鮮かでシャープなテッサー。ファインダーが小さく見にくいとは云うものの、現在でも実用に耐える実に使いやすいカメラである。


レンズは、カールツァイスイエナ・テッサー。ツァイスTコーティングを示す赤い「T」文字こそ付いていないが、薄紫色の美しいコーティングが施され、コントラスト、発色ともに素晴らしい。
シャープネス・解像感も文句無しに一級品で、F2.8テッサーの完成品といった印象である。
西ドイツ製 Opton Tessar に比べると、より柔らかく芯のある描写であり、個人的には、こちらの方が好みである。

フォーカシングは巻上げノブ後部に位置する小さなノブで行なう。このノブの回転量に応じて、レンズボードの繰出量が変化し、フォーカシングを行なうのである。
カメラホールディングが若干不安定になるものの、操作性は悪くない。測距性能は優秀で近距離撮影も安心して行なえる。
距離計は二重像合致ではなく、上下像合致方式である。MF一眼レフのスプリットプリズムで育った世代としては、こちらの方が合わせやすく思える。

巻き戻しノブ右側に位置するのはフィルムカウンターではない。これは距離計である。これを見て、大体の距離を把握するのである。
フィルムカウンターはシャッターレリーズボタンの手前、写真右端の円盤状のものである。

この写真でも分かるように、ファインダーは二つに分かれており、右側が測距用ファインダー、左側がフレーミング用ビューファインダーである。バルナックライカと同じで、慣れてしまえば、特に不便は感じない。

裏蓋を開けたところ。
手元にある戦前型 Dollina I と比べてみると、パトローネ側にあるヒンジ、裏蓋開閉ノブの形状など、ほとんど同一と言って良い。
フィルムパーフォレーションの一部をくわえ込ませる独自の4本爪スプロケットが上側のみに配置されている点も変わっていない。
ヤワな作りに見えるが、Dollina I 同様、フィルム給装感は非常に滑らかでトラブル皆無である。

戦前型ドリナの重厚で厳めしい雰囲気に比べると、より軽快なデザインである。丸みを帯びた姿はドリナの伝統であり、なかなか美しい。
前蓋には "Certo" のエンボスが、背面には "Super Dollina II" と記されたエンボスが刻まれている。
第二次世界大戦後、東ドイツのカメラメーカーは人民公社として統合され、戦前の由緒あるブランド名を次々と失っていったが、ツェルト・ドリナの名前は比較的長く残っていた方だと思われる。
ボディ各部の仕上げも丁寧で美しい。前蓋・裏蓋の内側は精緻な結晶塗装仕上げである。




実写例

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