Jewels of Nostalgia

Zeiss Ikon Contessa 35 (533/24)
Zeiss Opton T Tessar F2.8/45mm
Synchro-Compur B,1sec. - 1/500sec.
1953, Made in Germany


カール・ツァイス財団、ツァイス・イコン社の沿革・概略については、 "Zeiss Ikon Ikonta 35" に記したとおりである。
第二次世界大戦終結後、ツァイスグループは東西両ドイツに分断されたが、この Contessa 35 は、西ドイツ・ツァイスイコン社のベストセラー機として、戦後復興期のカメラ史に名前を残したモデルである。この時代のツァイスグループの動向に関しては、「第二次世界大戦後のツァイスグループの東西分断」を参照されたい。

Contessa 35 は、コンテッサ三姉妹(Ikonta 35 / Contina / Contessa 35)と呼ばれるシリーズのフラッグシップとなるモデルであり、1950年に発売された。ベースとなったのは、1949年に発売された距離計無しモデル Ikonta 35 である。Ikonta 35 は、第二次世界大戦後、西ドイツ ツァイス・イコン社が最初に生産を再開したカメラであった。Ikonta 35 に非連動距離計を装備したものが Contina、連動距離計・露出計を装備したものが Contessa 35 である。
(Ikonta 35 は、後に Contina I と改称され、それにともない、Contina は Contina II と改称されている。)
三姉妹の中でも、Contessa 35 は、「Contessa (伯爵夫人の意)」という名前にふさわしい典雅な姿に加え、現代においても充分実用的な機能を持つことから、今なお、人気は衰えていない。

ところで、コンテッサという名前には、もうひとつの由来が想像される。
第二次世界大戦後、西ドイツで復興した新生ツァイス・イコン社が最初に生産拠点としたのは、シュツットガルトのコンテッサ工場であった。このコンテッサ35も同工場で生産されたものであり、裏蓋には、"Made in Germany Stuttgart" のエンボスが刻まれている。
この工場の母体は、旧コンテッサ・ネッテル社の工場である。コンテッサ・ネッテル社は、1915年発売のフォールディングカメラ・ピコレットで知られる名門カメラメーカーで、1926年、イカ社、エルネマン社、ゲルツ社と共にツァイス・イコン社に統合された歴史を持つ。
終戦後の復興期に、新生ツァイス・イコン社が伝統あるブランド名「コンテッサ」を新製品名としたことは、その名前の中に、かつての栄光の日々の再来を求めたためではなかっただろうか。


このテッサーは、ツァイス独自のTコーティングを示す、赤い「T」文字付である。発色・コントラストは素晴らしく、シャープネス・解像感も充分で、たいへん切れ味の良い描写である。
Opton Tessar は描写が硬いとよく言われるが、このテッサーも同時代の東ドイツ製のものに比べると、シャープなだけにやや硬い描写である。
フォーカシング調節は前玉回転によるものである。距離計連動機構を組込んだため、Ikonta 35 よりレンズ面は奥まった位置となり、短いフードを付けたような形状となっている。

コンテッサ35を特徴づけるのが、ドレーカイルプリズム式連動距離計である。イコンタシリーズ、コンタックスなど、ツァイス・イコン社の主要なカメラに取り付けられたものと同様のものである。
一般的なミラー回転方式の距離計とは異なり、2枚の楔形プリズムを逆方向に回転させることで測距を行なう方式であり、プリズムと本体の間に物理的結合が無く、故障が少ないのが特徴である。
フォーカシングリングを動かすと、それに連動してレンズ上のプリズムが回転する様子がよく分かる。
二重像はクリアで、室内など暗所でもフォーカシングは容易である。

巻上げノブ、巻き戻しノブ、フィルムカウンターは底部に位置するため、ボディ上部はフラットである。
左から、フィルムの種類を記憶しておくためのリマインダー、アクセサリシュー、露出計となっている。
露出計は、測光後、手動でシャッタースピード・絞りを設定する非連動露出計である。

露出計測光素子はセレン光電池であり、測光レンジは受光部の蓋の開け閉めで切り換える。屋外など明所では閉めておき、室内など暗所では開けて使用する。
この時代のセレン露出計は動作しないものが多いが、この機体のものは一応動作している。ただし、測光値はかなり怪しく、おおむね正しい場合もあれば、かなり外している場合もある。

裏蓋を開けた様子は、Ikonta 35 とほとんど同じである。
フィルム給装は、右がパトローネ室、左が巻上げスプールとなっており、一般的な35mmカメラとは逆になっている。
前述のとおり、巻上げノブ・巻き戻しノブ、フィルムカウンターは底部に位置しており、専用皮ケースの底にはフィルムカウンター用窓が開いている。

前蓋を閉めた状態。12角形ボディはツァイスイコン伝統のもの、直線でまとめたデザインながら、決して厳めしくなく、典雅にして優美、端整なたたずまいである。

コンパクトなボディであるが、前後の厚みはかなりあり、レンズを引き出した状態でも表からは蛇腹が見えない。




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